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今時の田んぼ

お米作りは秋から始まっています。秋や冬の管理をどのようにするかは、稲作農家にとってはとても大切なことです。
 
じゃあどうすればいいのか、となるとこれが難しいんですね。人によって田んぼによって、やり方は千差万別。私も今の農業を始めて12回ほど稲を作りましたが、1年たりとも同じやり方はないし、厳密に言えば田んぼによってもやり方は全部違っています。
 
そういう試行錯誤の中で、これだけはやろう、と考えるようになったことがあります。その一つが冬季湛水。冬に田んぼに水を張っておくことです。これをやると何がいいのかと聞かれることは多いですが、正直わかりません。一般的にはオフシーズンには田んぼは乾かすのがいいとされていますが、当地の冬は天候が悪く、どんな努力をしたところで田んぼが乾くことはありません。だったら逆に水をふんだんに入れたらどうよ、って。
今時の田んぼ_b0274329_14453582.jpg

しかし当地でも冬の間に少しでも乾かそうという人の方が圧倒的です。そして一見乾いてそうに見える田んぼですが、土を触ってみると10cm下の水分飽和度は100%あるなと思われるところも少なくありません。意図するほどの効果は上がってなさそうな気がしています。
 
うちの場合、乾かすのは春になってから。3月には水を落として、4~5月になれば一転してなるべく乾かすように努力をします。この時期にはそれが可能です。ちょうどサバンナ気候では雨季と乾季があります。稲もあちらの作物だから良さそうな気もします。ただし田んぼによっては乾かす必要がないかなと思えるところも。うちがやっている試みはあくまでうちの田んぼでの話であって、さらにこれが正解なのかどうかも分かりません。もっといい方法があるはずだと毎年工夫して努力しているわけです。
 
考えても考えても答えのない世界です。同時にリスクも背負えるし、今のような世の中にあり、私のような変わり者にとっては、実に楽しいと言うしかありません。

# by tanboya3 | 2016-02-02 21:50 | 作業・技術(水稲)
何かと先進的な取り組みで有名な鳥取県智頭町が自然栽培の普及に動き出しています。FBからコピーした記事を末尾に掲載します。
 
自然栽培はまだまだ多くの人に「眉唾物」の扱いを受けており、そういうものに公が支援するという事例は多くはありません。しかし全国では自然栽培に注目している自治体やJAがすでにあります。最近では石川県の羽咋(はくい)市が有名です。たしか自然栽培の作付け100haを目指すということだったと記憶しています。
 
こういうところに公が関われるかどうかは考え方一つの気がするのですが、どうなんでしょうか。かつて眉唾物だった有機栽培が今では当たり前の世の中になったように、自然栽培がそのうち珍しいものではなくなる時は必ずやってきます。うちなどはすでに10haくらい取り組んでますが、それでも当地ではまだイレギュラーくらいの扱いにしかされません(惜)。うちだけの宣伝になるから、という声をかつて聞いたことがありますが、うちは作ったものは全部売れているし生産量が頭打ちのため、宣伝効果はもはやないのだから、安心してうちを利用してネタを作ればいいのにと、つい他人事のようにもったいなく思ってしまいます。
 
こういう言い方はあまり好きじゃないですが、みんながやりだしたときはもう遅いんです。最近も書きましたが、国が予算をつけるようになった時はもう終わっています。農業の六次産業化はその典型でしょう。
 
自然栽培に魅せられている人は都市部を中心にかなり増えています。この流れには絶対に逆らえません。地方間競争というなら、明らかにネタ的に押さえるべきところです。
 
当地事情をいうなら、当地が推そうとしている「機能性食品」とは水と油ではあります。しかし単純に相反するものだとは私は思いません。この社会には、「根本」と「対症」のバランスが現実的に必要です。自然栽培は根本、機能性食品は対症という位置づけでやれば、あまりにも分かりやすく魅力的です。「そんなにハッキリ位置づけたらいつかは対症の側が不利になる」というのはあまりにも浅はかです。じゃあと放っておいても時代の流れはそれを許しません。そのうち壊滅的な打撃を受けるくらいなら、現実的に不可欠なバランスシートの上にあらかじめ乗って進めていくことで息の長い理解が得られるように思います。
 
実は私は昨年秋に、タイミングごとのタイトさから断らざるを得なかったんですが、智頭町から事例報告のお誘いを受けました。智頭町のニュアンスを肌で感じたかっただけに、返す返す残念です。それから言うまでもなく、タルマーリーの貢献があります。
 
※1回目草取りマラソン進捗率:88%
ここ、智頭町で「自然と共生した持続的な暮らし」を地域とともにつくりたい。
そこで、現在改修中の古民家を自然栽培拠点施設として活用します。  
“自然栽培による農のある暮らし”を実践しながら
環境を守るとは・・・
地域の循環とは・・・
人の幸福とは・・・
豊かな暮らしとは何か・・・。
ここで暮らす人が生活をともにし、自然栽培の生業を営みながら、これからの生き方を智頭町の地域全体に示してほしいと願っています。
[居住地の概要]
(1)住居様式  和風古民家一軒(賃貸住宅) ※現在 改装中
■1階・・・6畳間:2部屋/8畳間:2部屋/4.5畳間:2部屋
台所/土間/車庫/風呂(給湯式)/トイレ
■2階・・・6畳間:1部屋/4.5畳間:1部屋/3畳間:1部屋
■農作業小屋 農機具1台分
■車庫 自家用車1台分  
(2)家 賃 約16,000円/月(現在、住宅改修中につき、完成後に確定)
(3)敷 金 家賃の3ヶ月分(入居時に支払)
(4)生活費 自己負担(光熱水費、通信費、燃料費、村の負担金、その他生活に必要な経費)
(5)生活条件  
・村人との良好な関係を築き、村の共同作業及び会議、行事等に積極的に参加するよう努めること。
・生活を共にする者と協調して住まうこと。
・智頭町内で自然栽培を実践する農業者とともに自然栽培グループを組織し、積極的に交流を図ること。
・智頭町空家再生住宅事業実施要領に基づき、入居できる期間は最長10年間とする。
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[募集要領] 
【募集人数】 3名まで(共同生活を営みながら自然栽培農業
【応募資格】
・自然栽培を軸に農業に取り組む意欲のある人(自然栽培経験は不問)
・年齢が20歳以上40歳以下の独身の男性または女性(平成28年4月1日現在)
・智頭町外からの移住者で、入居決定後に智頭町に住所を移すことができる人
・現在の居住地に市町村税及び使用料等を滞納してない人

【応募方法】 応募用紙を郵送、ファックス、メールでお申込ください。フォームはこちらから→http://cms.sanin.jp/p/chizu/sanson_saisei/nougyou/9/3/
【応募期間】 平成28年1月18日(月)~ 2月10日(水) 当日消印有効
【面 接 会】 平成28年2月21日(日)午後(時間未定)   
※居住地の内覧会及び早瀬集落との懇親会を兼ねて開催します。
※面接会の詳細は、応募のあった人に後日ご案内します。 

【入居開始】 平成28年4月上旬を予定
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【問い合わせ先】智頭町役場 山村再生課 國岡
〒689-1402 鳥取県八頭郡智頭町大字智頭2072番地1
電話 0858-75-3117 ファックス0858-75-4124
E-mail s-saisei@town.chizu.tottori.jp
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# by tanboya3 | 2016-01-28 21:50 | 主張・提言

記録的な寒波

前触れどおりの寒気。今日は外に出ないようにしていますので、田畑の様子が分かりません。
 
我が家の屋内は0℃、玄関先の気温が-5℃。これだけの低温は記憶にないです。山陰の冬は雪が多く晴れ間が少ないですが、気温は意外と低くなりません。この辺りは海抜20m程度なので、冷え込む朝でも-2℃くらい、家の中の水道が凍ることも滅多にありません。
 
しかし今日は、この家に引っ越してきて4度目の冬にして、ついに凍らせてしまいました。朝起きた時点で、トイレの水道は既にダメ。慌ててお風呂と台所を。こちらはまだ出ました。2時間後くらいに洗濯機を思い出しましたが、残念ながら手遅れ。その後は油断もあって台所の1本を凍らせかけつつも無事生還。生きている蛇口を1時間おきくらいにひねって死守しています。
 
問題はこれからの夜中。井戸水を電気で揚水しているので、出しっぱなしは電気の浪費が気に入らなくて・・。
 
こんなときに山水が切れているのが悔やまれます。先週初めにアクシデントで止まっているんです。よりによってこんなときに。山水なら出しっぱなしでまったく問題がなかったでしょう。停電も関係ないですしね。
 
ライフラインのあり方を改めて見つめなおすいい機会になっています。
 
※1回目草取りマラソン進捗率:87%

# by tanboya3 | 2016-01-24 21:46 | 暦・天候
あちこち見回した限りでは、「青年就農給付金」の評判があまりにもよくありません。
 
農業に縁のない人に簡単に説明します。新規で農業を始めた人は年間150万円を国がくれるんです。しかも5年間(研修も含めると7年)に渡って。凄いでしょ。当然審査をパスしないとだめですが、大概の新規就農者がもらっています。「ってことは、近所のあの人ももらってんの?」はい、たぶんもらっています。
 
名目にはこう書かれています。『青年の就農意欲の喚起と就農後の定着を図るため、就農前の研修期間(2年以内)及び経営が不安定な就農直後(5年以内)の所得を確保する給付金を給付します。』
 
どうですか、一見まともでしょ。でもこれはある学者の言葉を借りると、「働かなくていいですよ。」という補助金です。だって年間で150万も、5年間に渡ってくれた上に、農業経営が軌道に乗らなくても返さなくていいんです。ほどほどに働くだけでとりあえず5年も暮らせるわけです。
 
もちろん多くの人が、6年目から補助金がなくても自立できるように頑張っている「つもり」でやっています。でも人間なんてそんな強いもんじゃありませんから、知らず知らずのうちに緩みます。12の努力が必要なところで5の努力しかできなくなります。無意識のうちにそうなります。だから頑張っている「つもり」になってしまいます。
 
そうしてあらゆる意味で貴重な立ち上げ期に、ベストの努力をしないまま時が立っていきます。私はこの補助金は「麻薬」だと言っています。麻薬ですから本人に自覚はありません。そしてそれを忠告しても「わかっちゃいるけどできないよ~」というのが麻薬であり、知らず知らずうちに蝕まれていきます。気が付けば5年が経ち、補助金が切れ、生活レベルが一変します。やむを得ず離農していくハメになります。
 
しかし、というようなことは実はまだ起こっていません。この制度が始まってまだ5年が経たないからです。早い人でも2017年までは補助金が続きます。しかし巷ではあまりに評判が良くありません。私の知り合いにもこの補助金を受けている人がたくさんいますが、私の目から見ても不安な人が明らかに多いです。この制度を「討ち死にモデル」などと表現する人や、2020年ごろには離農者が手放すおかげで中古農業機械市場が賑わうだろうと揶揄する人もいます。
 
この補助金制度自体を、自民党の農林部会長になった小泉新次郎議員が「ゼロベースで見直す」と発言しています。私もこれには大賛成です。でもこの補助金自体が悪い制度とは私は思っていません。補助金の使い方によってはとても有益な制度です。
 
私は、もっとも効果の高い補助金制度はハード補助だと思っています。機械や設備(ハード)の購入に際し一定割合を補助するものです。うちも農業を始める時には大変ありがたいことにこの補助をいただきました。ざっと3000万円の購入に対し、半額の1500万円を行政(国民)が補助してくれました。(周囲の新規就農者に比べると金額が大きいのは、10ha規模から始めるという成り行きがあったためです。)おかげで、頑張りさえすれば経営が成り立つという「資格」を得たわけです。
 
専業農家として経営を「現実的に」続けていくためには、それなりのハードが欠かせません。だから農業経営をするということは、うちのようにスタートでその多くをそろえることが出来た場合はいいですが、そうでない場合は、何とか経営を続けながら、一刻も早く、安定に必要な規模のハードをそろえる必要があります。
 
もちろん初めは揃ってないわけですから、それをカバーするために労働時間を長くとるとか生活レベルを抑えるとかしてかなり無理をすることも余儀なくされます。ジッと耐えつつ、1年でも早くハードを揃えるのです。ハードが揃うのが先か、自分が倒れる(嫌になる)のが先か、の競争と言っても過言ではありません。もっともどんな農業を目指すかということにも依りますが、大なり小なりこういう側面が必ずあるわけです。
 
しかし青年就農給付金は現金をくれるわけです。しかし生活費補助の名目で半年に75万円ずつ小出しにしかくれません。5年間の総額750万円を一度にくれれば一気に750万円分のハードを揃えることができますし、ここに50%のハード補助制度を組み合わせられれば1500万円分を揃えることができます。農業経営は一気に現実味を帯びてきます。
 
しかし小出しにしかくれないのではそういうわけにもいかない、もう嫌がらせとしか言いようがありません。ついついそのお金を名目通りに生活費に充ててしまい、「働かなくてもいいよ~」という無意識の幻聴が聞こえてしまいます。
 
ハード補助なら現金は一円ももらえないので生活費に充てようがありません。経営が軌道に乗るまでは、生活費を削り、場合によってはバイトも組み合わせて1日18時間労働で生活費をねん出せざるを得ないかもしれません。そしてその境遇から脱するためのモチベーションが否が応でも養われます。その間の自分との対話は一生の仕事を生み出すという過程で有意義な行為ですし、結果的にその開始時の経験が後に生きることにもなります。
 
これは私自身の経験はもちろんですが、あちこちの事例を見聞きして言えることです。
 
ちなみに「お金は二の次にして、もっと別の真っ当な価値観で生きていきたいんだ。」という人も少なくありません。農の分野ならではの感覚です。これについては私も感心するし、他で議論をしたいところです。しかし現実的には、年金暮らしの年配者以外はほぼ挫折してしまうようですので、ここでは横に置いておきましょう。

じゃあこんな補助金はもらわない方がいいのかというと、そういうわけではありません。もらえるものはもらった方が得策です。使い方を工夫すればいいのです。
 
ではどうするか。ハード補助にすり替えてしまえばいいのです(→)。5年間に渡ってもらえる総額750万円を担保にして、お金を借りるのです。自分の貯蓄と相談して、例えば最低でも750万円は借りましょう。そして必要なハードを一気に揃えるのです。つまりもらえる補助金は明らかに必要なハードに変えて全部放出してしまうのです。
 
そして他のハード事業があれば組み合わせましょう。2分の1補助の制度が受けられれば手持ちの750万円で1500万円のハードを購入できます。一度に全部を使いきらねばならないということは有りませんが、必要なものはなるべく一気に揃えるのが経営的に有利です。カギは、「ハード整備は一年でも早く」ということです。
 
基本的にはこの補助金を使いこなす方法はこれしかありません。それが「金に呑まれず」「金を呑む」ということです。要は金に呑まれなければいいわけです。
 
人によって既にこの補助金を受けて1年2年3年と経過しています。被害は最小限に抑えるべく、残りのお金をハードに放出しましょう。
 
この補助金には、単なるハード補助と比べていい点もあります。それは中古が買えるということです。ハード補助は、新品を入札によって買わねばなりません。近所にお買得の物件があるからといって中古を買うわけにはいきません。しかしこの補助金なら自分の自由に使えますので、リタイアしたがっている農家から掘り出し物をそろえることもできます。使い方一つで素晴らしい補助金になります。
 
「生活費はどうするのか?」という怖さがあります。そう、怖いです。私も怖かった。未来は見えないですから。でもそれで怖がっていてはどのみち経営をずっと続けていくことはできません。今はいい時代です。最悪でも野たれ死ぬことはありません。
 
気が付いた時には蝕まれているのが麻薬です。呑まれることなく、経営を軌道に乗せて行きましょう。

# by tanboya3 | 2016-01-22 21:45 | 主張・提言・考え事
お世話になっていた人の葬儀に行ってきました。

地域を思い奔走している人はたくさんいらっしゃいますが、私に直接深く関わりがある方でした。今田地区の農地調整をする組合の事務局をされていて、うちが今田地区での営農を始めた2010年からは特にお付き合いが増えていました。

「農地を守りたいという思いが強かった」、と喪主である奥様がご挨拶でも話されましたが、私もこれまでに多くのお願いをされました。長い闘病生活をされていまいたが、その合間を見て3か月前に「今田地区の作付けを拡大してもらえないか」と改めて打診してこられました。これまで散々固辞してきて、さらに今回は具体的に2.5haもの提案だったのでさすがに痺れましたが、散々考えた挙句引き受けることにしました。今思えば虫の知らせだったのかも知れません。

つい先月も「今田地区の畑地を引き受けてもらえないか」とお見えになりました。無理とは思うんだけど・・・と。やはりこれについてはご期待に沿えませんでした。体調も良さそうに見えたので、まさかそれが最期になるとは思いませんでした。思い返せば、お力になれないことの方が多かっただけに、2.5haの大口を引き受けれたことがせめてもの恩返しになったかなと思っています。

今の世を憂い、自分の死後の心配をしながら亡くなって行く人にとってのあの世はどんなところなのでしょうか。最愛の遺族らを思えば誰しも憂いはあるでしょう。しかしその質、その程度は様々あると思います。私など今死ねば、「養分供給、栄養価・・・」などと無念たらたらと、何としてもこの世に化けて出てきてやりたいと思うかもしれません。喪主挨拶に託し、「栄養価という概念を捨てるようこの場(喪主挨拶)で訴えろ、というのが故人の最期の言葉でした。」などという小細工はぜひともしておきたいところです。

話を戻して、この方に、「今田地区近隣の農地を守る仕組みを反田さんが音頭をとって何かつくってくれないか。」と以前お願いされたことがあります。あまりに漠然としてそれ以上の話にはなりませんでしたが、私にできることは限られているとはいえ、一方で私にしかできないことも確実にあるはずです。そういうことに等身大でジッと取り組んでいきたいと改めて決意しているところです。

最期のお誘いとなった忘年会に体調不良で欠席したことが悔やまれます。ご冥福をお祈りします。

※1回目草取りマラソン進捗率:76%

# by tanboya3 | 2016-01-15 21:43 | その他

およそ月1回更新。日々のブログは、http://handa-shizensaibai.com          


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