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改めて青年給付金を批判する

新規就農者向けに「青年就農給付金」という補助金がある。今は名前を変えて「農業次世代人材投資資金」(→というらしい。補助金といったが、つまりは生活保護で、そのロクでもなさは多くの農業者が指摘するところだし、私も以前こんな(→)のを書いたことがある。過去ログで閲覧数が多いのは圧倒的にこの記事だ。

最近、この補助金について久しぶりに考える機会があって、これまでは、ロクでもないのは大多数の人にとってであり、よっぽどしっかりした人にとっては別に悪くない制度だと思っていたのだが、どうもそうではないなと。これはしっかりした有望な人さえも食い物にしてしまう制度だと。

前に書いた通りで、問題は麻薬性。本人の気がつかないところで取り返しがつかないレベルにまで蝕んでしまう点だ。俺は蝕まれてなんてない!と思う人は多いだろう。だから「気がつかない」というのだ。そしてその怖さ。この怖さにも気がついていない。

満額の受給が終了した人は、確か早い人で昨年からいるじゃないかと思うが、大多数の人はこれからだ。生活保護が打ち切られた後に軌道に乗せられる人がどのくらいいるのか。目と耳を塞いでいたい気持ちだ。

いっそのこと思い切って離農するのならいい。しかし一番気の毒なのは、かろうじて軌道に乗せたかのように見える経営を作った人たちだ。こんな生活保護制度を受けずにやっていれば(それに代わるハード補助を受けていれば)、もっともっと良い経営をしていただろう。こういう人たちならできたはず。それが麻薬のせいで辛い目に遭う。当面の目標は麻薬のしびれが完全に切れるまでの経営の継続。その次の目標は「くたびれ」に打ち勝てるまでの経営の向上と安定。いずれも時間との勝負。

こうならないための唯一の解決策は、前に書いたように、借金をしてまでも、予定されている補助金の満額を利用して必要なハードを揃えることだ。手元には1円も残さずに全額を投資する。途中からでも遅くない。しかし受給期間が終了しそうな人は残念。どうすればいいか。その経験がないから分からない。

なんか、悔しいね。

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昨日の続きで。

私がこの補助金のことをとやかく言うことを面白くない目で見る人はいるだろう。運の良さに大きく頼って経営を軌道に乗せたくせに、自分に関係ないからと偉そうに細かいことを言うな、いう人の気持ちは分からないではない。

しかし実は、私には関係ないようで大いに関係があるのた。農業の生活保護はこの補助金だけではない。実は私も受けている。個人ではなく会社で受けているのだ。具体的には、「環境直払い」と「水田活用交付金」だ。うちのような農薬らに頼らない経営を当たり前と考えている農家や、転作がそれなりに容易な条件下の水田を所有する農家にとっては、これらはもはや「経営努力をしようがしまいがもらえる」補助金だ。金額も太い。だから会社版の生活保護だと考えている。この生活保護と如何に上手く付き合うかというのは、まだ起業後20年もたたないうちにとっては大きな大きな課題なのである。

(誤解を防ぐために付け足すが、今上げた2つの補助金に該当する経営努力や経営コストはそれなりにある。それが当たり前に感じられるくらいに技術が高まっているということだ。意識の問題例としてあげている。)

やった!儲け儲け!でこれらを自分らの給与に当てることは論外として、収支にすっかり組み込むやりくりで経営の努力や工夫の上限を決めてしまうだけでも、いつか必ず悲惨なことになる。これでは新規就農者がもらう生活保護と何も変わらない。それでうちではその分を(額は厳密ではないが)ハードへ投資することにしている。ハードを揃えて、補助金に頼らないですむ経営をなるべく早く作ろうということ。うちはまだ(15年なんて)新規就農者の範疇なのだから、私にとっては必然の努力であろう。

にも関わらず、隣を見ると、あれれ、の人が多いので心配になってしまう。これは私の独り合点などではない。農業の歴史は補助金に振り回されてきた歴史だ、と言うではないか。ボンヤリ考えていてはダメ。それはまさにこのことなのだ。

by tanboya3 | 2019-04-10 20:32 | 主張・提言・考え事

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