私の修業の話。いつか書こう書こうと思いつつ。
私の場合、改まった目的でどこかの職人に弟子入りしたわけではない。修業の場はこれまでときどき触れてきた
学生時代の造園のバイトである。
時はバブル。バイトには困らず、フリーターが一番金持ちという時代。先輩の紹介で応援要員で造園会社へ単発のアルバイトに行った。その日は記憶にないくらいに淡々と過ぎた。
後日、今度は仕事をやらせて欲しいと自分で直接電話をしたら、「君は使えないからいいよ。」と言って断られた。悔しくて数日後また電話をした。「あんた、誰?」といって電話を切られた。
悔しかった。バイトは星の数ほどあるさ、と気持ちを切り替えようとしてみたが、悔しさが消えることはない。しつこく食い下がるべきかどうか。でも何か惨め。電話の前で腕を組んで悩む日が何日も続いた。
そして悩みくたびれてまた電話をした。「もう1回だけでいいから仕事をさせてください!」許しが出た。
2回目のバイトは親方と2人きり。散々だった。「お前の親父が土方で苦労してきたという割には、何でお前はそんなにダメなんだ。」「近頃の学生はダメになったねえ。よくこれまで生きてこれたな。」「お前に給料払うのはもったいないよ。」・・・吐き捨てるように言われ続ける。ぬくぬくと育ってきた当時の私には免疫などなく、気持ちはどんぞこにまで落ちた。しかしその日は見返してやりたいから来たのであって、ひたすら「はい」「すみません」と耐えて踏みとどまる。その態度がわずかに認められたのかどうか、「またやりたきゃ使ってやるよ。」と週に1~2日通うことを認められた。
若干20歳の秋。続く。