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洪水と共に歩む

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JASの不可解なルール

このたびの洪水を受けてJASで振り回されている件で、今日も朝からデスクワーク。作業をたくさん溜まっているのに、実にしびれる。

JASの摩訶不思議な1項目はこれ。(太字は私)

『1.台風や地震等の広範囲に及ぶ天災であって、河川の氾濫や土砂崩れ等により周辺から土砂が流入したり、冠水した有機圃場については、使用禁止資材の流入の可能性があります。このため、使用禁止資材の有機認定圃場への流入を明確に否定できる場合を除き、被害を受けた時点で作付けられていた作物の当該作期における収穫物については有機の格付をすることはできません。
2.また天災の被害を受けた圃場については、その時点で生産していた作物を収穫又は取り除いた後についても、有機農産物を生産するためには、ある程度の期間、土作りをやり直す必要があります。このため、天災を受けた時点で生産していた作物を収穫又は取り除いた時点(土作りの開始)以降1年以内に収穫された農産物については転換期間中有機農産物とすることとし、それ以降に収穫された農産物については有機農産物として格付することができます。』

「使用禁止資材の流入の可能性があります」って、それは普段からあるだろよ。田んぼの水は普通は川の水だが、上流の農地や家屋から禁止資材は川にたくさん流れ出している。なぜ、普段水路から取水している川の水がOKで、畦を超えてきた水はダメなのだろうか。感覚的にはむしろ洪水の時の方が流量が桁外れに多く、明らかに薄まっていて禁止物質の濃度は薄いと思われるのだが。またドリフトの問題はどうなるのか。空気が運んでくる農薬などに比べて、水が運んでくる物を極度に問題視するのはなぜなのか。

そもそも有機JASには残留農薬の検査などは課せられない。それは禁止物質で汚染されているかどうかという実質の問題ではなくて、汚染されないような行程で栽培されているかどうか、という「栽培方法に対する認定」だからである。であるのに、なぜこのときばかりはこのことを問題視するのだろうか。

さらに、例えば鶏糞をぶち込んで育てられた「有機野菜」と、うちのように江の川の水が流れ込んできたけれど肥料を一切使わずに育てた「有機から外された野菜」とでは、どちらが健康と環境にいいだろうか。というようなことも考えると、あまりにバカバカしくはないか。

「明確に否定できる場合」とはどんな場合か。同じようにJASに振り回されている同業者さんが問い合わせているそうだが、それに対しての回答はないらしい。

「土作りをやり直す必要があります。」この表現には笑ってしまう。ここでいう土作りとはどのようなことを想定しているのだろうか。流れからは、使用禁止物質が畑から抜く、ということのように受け取れるが、これもそういう物質が問題になるくらい入り込んだという前提であるだろう。

「作物を収穫又は取り除いた時点(土作りの開始)」というのも意味が分からない。作物を根ごとすべてを取り除くというなら、汚れたものを取り除くという意味合いで百歩譲って解釈できないこともないが、(稲のように)実だけをちょいちょい収穫して藁も根っこもみんな田んぼに残ってい状態で土づくりの開始と言われても解せるものではない。

また「1年」の根拠は何なのか。何事もどこかに線引きは必要だろうが、現状をみることもなく一律に決めてしまうのは明らかに手抜きとしかいいようがない。

細かく見れば指摘したいことはまだまだあるのだが、明らかに不思議な条項である。この不思議さに振り回される人はたまったものではない。うちはまだマシなほうだが、近隣の農業会社らは死活問題である。

この条項はあまり練られていないのではないか。冒頭で「土砂の流入」と「冠水」をさらりと同じように扱うことがまず不思議である。うちの畑をみれば、これらは別物である。このたびも明らかに隣接慣行圃場から土が入り込んで堆積した圃場がある。そういう圃場はその土を取り除くわけには行かない以上、まあ「土づくりからやり直す」ということでも仕方がないかなと思う。

しかし大半はそうでない。川の濁りの正体、つまり山の腐葉土の微細粒子のみが薄っすらと数ミリとか1センチとか積もる程度である。せっかく冠水の状況調査のために検査員が派遣されてくるのだから、そういう状況をを調べた上でJASの取り消しを検討されるべきではないのか。(現在実施されている調査とは電話で伝えても済む内容のものである。)私が思うに、使用禁止物質を含む隣接慣行圃場などの土が明らかに流入した圃場を格下げ処置とし、そうでない圃場は、検査員が状況を調査した上で持ち帰り判定を下す、という解釈にするのが真っ当ではないか。一律に川の水が入ったから、という理由でJASが取り消されるのは、何度でも繰り返すが、意味が分からない。

2010年の洪水後に、別件で中四国農政局長がうちの圃場に来られる機会があった。不思議さを訴えたところ、上流でどんな設備や工場が浸かっているかわからない、と言われた。そんな状況は行政が調べれば簡単にわかる。そういう参考情報を基に、前段落で言った場合の判断をする。

(もっとも、どこかの町工場が浸水していたとしても、あの江の川が川幅500mになって、毎秒何千トンという流れの水量の中で、普段の川より禁止物質として多く含まれているという可能性は果たしてあるのだろうかという気がするが。)

我々の人生をも左右しかねないこの決まりは、いったい何を守っているのか。海や湖沼の魚介類のことを考えても、河川沿いこそ有機農業が普及すべきと思うし、今後ゲリラ豪雨などで洪水の災害が増えると言われている昨今である。国には現実的な対応を求めたい。
by tanboya3 | 2013-10-09 14:40 | 有機JAS

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